徹底分析シリーズ 麻酔科医とタンパク質の一生
タンパク質も四苦八苦?タンパク質の生老病死
岩坂 日出男
1
Hideo IWASAKA
1
1大分大学医学部 麻酔学講座
pp.2-6
発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100833
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
病院を訪れる患者はさまざまな侵襲・ストレスにより生命が脅かされようとしている。麻酔科医の業務は手術侵襲を中心とした生命を脅かす周術期のストレスから患者を守ることにある。病院外の日々の生活においても生命は,食事や活動,睡眠の繰り返しから,生涯を通じての出産,誕生,成長,病気,老化,そして最後には死という,身近で具体的な側面を持っている。私たちの生命は,実に60兆個の細胞の活動からなり立っている。つまり,生命の基本単位は細胞であるといえる。
分子生物学は,1953年に米国人のワトソンと英国人のクリックがDNAの二重らせん構造を明らかにして,遺伝が化学的,合理的に説明できるようになってから立ち上がった学問である。生命を操る物質はDNAであり,RNAはDNAの遺伝情報をもとにタンパク質を合成する。タンパク質は生命現象の直接の担い手であるが,一人ひとりの個体の一生と同様に,タンパク質も生・老・病・死といった一生を送っているのである。
Copyright © 2010, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.