第1特集 予防&フォローがん診療
治療中(プライマリ・ケア医のかかわり)
発熱性好中球減少症(FN)を見逃すな
森本 将矢
1
1和歌山県立医科大学 臨床感染制御学
pp.1282-1286
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2025100009
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はじめに
好中球は感染症治療に非常に重要な役割を担っており,重度の好中球減少症では細菌感染症や真菌感染症が起こりやすくなる.アメリカ感染症学会(Infectious Disease Society of America:IDSA)では,「好中球数500/μL 未満あるいは48 時間以内に500/μL 未満になることが予測されるなかで,口腔温38.3℃以上もしくは38℃以上が1時間以上続く状態」を発熱性好中球減少症(febrile neutropenia:FN)の定義としている1).体温に関してはアメリカでは口腔内温の測定が一般的であるが,わが国のガイドライン2)では腋窩温の場合37.5℃以上としている.しかし,実臨床では厳密に37.5℃で一律に対応するよりは,やや体温が低くても感染症があると思えばFNとして治療するような臨機応変な対応が必要である.
ここで最も注意すべきことは,FNは疾患名ではなく,あくまで好中球が減少している患者が発熱した状況を示しているだけという点である.しっかり全身の診察・検査を行い感染源を探すことが大切であり,熱源を見つけられない場合にFNとして対応を行う.本稿では,FNの診療に重要なリスク分類やその対応について解説する.

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