増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅱ. 婦人科編
❹オンコロジック・エマージェンシーへの対応法
発熱性好中球減少症
市村 友季
1
,
大上 健太
1
,
角 俊幸
1
1大阪公立大学大学院医学研究科女性病態医学
キーワード:
発熱性好中球減少症
,
がん薬物療法
,
重症化リスク判定
Keyword:
発熱性好中球減少症
,
がん薬物療法
,
重症化リスク判定
pp.160-164
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211219
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卵巣癌ⅢC期術後(suboptimal surgery)でパクリタキセル+カルボプラチン+ベバシズマブによる薬物療法を受けている68歳の患者が,治療6日目に38.6℃の発熱を主訴に時間外受診した.合併症に慢性気管支炎があり,口内炎による治療中で疼痛のために食事は食べやすくしたものを摂取している.卵巣癌治療以前から咳と痰の症状があったが増悪はなく,そのほかの自覚症状はなかった.診察所見で異常はみられず,胸部X線も今回の化学療法実施前の所見と変化はなかった.血液検査では白血球数は800/μL(好中球20%,単球3%)と低値であった.発熱性好中球減少症の診断基準を満たし,かつ高リスク症例と考えられたため入院による治療を勧めた.入院後,血液培養・喀痰培養などを実施したうえでセフェピム4g/日(2g/回×2回/日)による治療を開始した.
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