連載 レジデントのためのオンコロジーカンファレンス[3]
発熱性好中球減少症(FN)はこわくない
勝俣 範之
1
1日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科
pp.334-348
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200090
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
70歳女性、化学療法後に嘔吐を認める
勝俣 今日のテーマは、診断ではなくて治療です。患者は70歳、女性。主訴は咳、食欲不振、倦怠感です。既往歴は、49歳で乳がん手術、家族歴は祖母が胃がん、社会歴は63歳まで公務員をしていて、子ども4人です。2ヶ月前より、咳、食欲不振、倦怠感があり、近医を受診したところ、胸部X線検査で多発肺腫瘤を指摘され、当院へ紹介となりました。CTで両肺に数mm〜1cm大の多発肺腫瘤影、肝臓と後腹膜に多発腫瘤、多発骨転移、胃内視鏡で粘膜下腫瘍がありました。生検も行なわれており、平滑筋肉腫の多発骨転移、多発肺転移、肝臓転移と診断はついています。原発巣はおそらく後腹膜です。c-kit遺伝子変異(point1)は陰性でした。後腹膜腫瘍のなかでもGIST(gastrointestinal stromal tumor)は分子標的薬によく反応するので、除外しています。
外来から腫瘍内科に紹介があり、多発転移で治癒が困難、生存期間中央値は12ヶ月ということでした。将来的に緩和ケアの準備をしておくのが大切だという話をして、完全な標準治療は決まっていないのですが、アドリアマイシン単剤を3週毎に始めました。ここからが本題です。
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.