特集 睡眠薬のトリセツ 今すぐ使える不眠治療の処方箋
睡眠薬の特徴から不眠のイロハを整理する① 作用機序から睡眠に関連するホルモン・神経伝達物質を整理する
中村 友喜
1
1三重県立こころの医療センター 診療技術部薬剤室
pp.194-198
発行日 2023年2月5日
Published Date 2023/2/5
DOI https://doi.org/10.15104/ph.2023020008
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われわれは人生の約1/3を睡眠に費やす.睡眠の役割については理解できていない点も多いが,活動に適さない時間帯に無駄なエネルギーを使わなくする役割や脳が活動をし続けてオーバーヒートしないように積極的に休ませる役割がある1).睡眠は概日性の行動であり,地球の自転と昼夜周期に影響される.このような規則正しい睡眠リズムは,睡眠神経系によって制御される「睡眠欲求」と覚醒神経系によって制御される「覚醒力」のバランスによって形成される.睡眠欲求には,睡眠からの十分な経過時間が関与し,覚醒している時間が長いほど覚醒中の疲労蓄積が多くなることで睡眠欲求の増加につながる.一度眠りに入ると睡眠欲求は急速に減少し,その人にとって十分な時間だけ眠ると睡眠欲求は消失して覚醒に至る.また,覚醒力は概日周期を形成する体内時計から発信され,1日の決まった時刻に増大し,睡眠欲求を抑えて覚醒を促す.普段の就床時刻の数時間前に最も覚醒力は強くなる.
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