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目的
本研究の目的は、NICUの看護職による母乳育児支援の実態調査を行い、問題点と課題を明らかにすることである。
対象と方法
研究対象施設は、首都圏近郊の総合周産期施設の9施設とし、研究対象者は、NICUの女性看護職194名である。対象者に対して自記式質問紙調査を行った。調査項目は、属性、NICUに入院した新生児のための母乳育児支援の実施状況、自由記述等、計45項目で構成した。調査期間は、2015年9月〜10月である。分析は、基本統計量の算出、Mann-WhitneyのU検定によって行った。本研究は、東京医療保健大学ヒトに関する研究倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:院27-17)。
結果
調査票の配布数は、194部、回収数は84部(回収率40.3%)であった。そのうち有効回答が得られた75部(有効回収率89.3%)を分析対象とした。ガイドラインの推奨の要点となる上位10項目の到達状況を5件法で尋ねた結果、「4.直接授乳の方法に関する基本的な情報を提供し、実行できるよう支援する」(3.6±0.8)は、全10項目の平均値より低かった。さらに、直接授乳の際の具体的支援の中で、「直接授乳を終えるときの留意点の説明」は、「十分できる」・「できる」と回答したものは、66.7%と低かった。
また、上位項目では、「7.新生児の状態に合わせ、母乳育児の過程を個別的に説明し、情報を提供する」(3.4)も平均値より低かった。この上位項目の中の下位項目では、「22)心疾患をもつ新生児の場合に対し、母乳育児の過程を個別的に説明し、情報を提供する」(3.1)と「23)唇裂口蓋裂をもつ新生児の場合に対し、母乳育児の過程を個別的に説明し、情報を提供する」(3.1)が平均値より低かった。母乳育児支援の対策に関して「何もしていない」と回答した看護職は33.3%であったが、経験年数別の差はなかった。さらに、母乳育児支援に関する悩みについては、類似別にカテゴリー化するほどの記載がなかった。
結論
ガイドラインが作成されてから5年経過するが、NICUに入院している児への母乳育児支援は、いまだ十分到達できていないことが明らかになった。
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