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目的
本研究は、母乳育児支援クラスにおいて手作りした授乳人形を用い、直接授乳の反復練習を試みた妊婦のフロー状態の変化を明らかにする。
対象と方法
対象者は、妊娠後期に2回(1回目:妊娠33-34週、2回目:妊娠34-35週)開催した母乳育児支援クラスに参加できた初産婦1名、経産婦1名の2名とした。対象者がそのクラスの中で手作り授乳人形を使用して直接授乳の練習を繰り返した結果、フロー状態がどのように変化したか数量的に捉えるために「フロー状態得点尺度」を使用した。使用した尺度は浅川らによる「フロー状態得点(全25項目、5件法)」尺度の許可を得て一部改変し使用し、浅川らの先行研究で明らかにされている5つの下位因子【学びへの積極性】、【思考・行動の柔軟性】、【新たなものへの開放性】、【生きがい感】、【将来への志向性】のそれぞれの合計得点および平均得点、変化率を算出して分析した。
結果
経産婦のフロー状態得点の総和については、1回目は125点満点中94点(平均得点3.8点)、2回目は97点(平均得点3.9点)と3点(平均得点0.1点)増加した。初産婦のフロー状態得点の総和については、1回目は125点満点中93点(平均得点3.7点)、2回目(妊娠35週)は97点(平均得点3.9点)と4点(平均得点0.2点)増加した。初産婦と経産婦のフロー状態得点の5つの下位因子の中で、増加した共通因子は【学びへの積極性】と【新たなものへの開放性】の2つであった。【学びへの積極性】は、経産婦の1回目の合計得点は40点満点中30点(平均得点3.8点)であり、2回目の合計得点は40点満点中31点(平均得点3.9点)で変化率は2.5%の増加だった。初産婦の1回目の合計得点は40点満点中26点(平均得点3.3点)であり、2回目の合計得点は40点満点中29点(平均得点3.6点)で変化率は7.5%の増加であった。【新たなものへの開放性】は、経産婦の1回目の合計得点は25点満点中20点(平均得点4.0点)であり、2回目の合計得点は25点満点中22点(平均得点4.4点)で変化率は8.0%の増加であった。初産婦の1回目から2回目にかけての合計得点は25点満点中22点(平均得点4.4点)であり、2回目(妊娠34週)の合計得点は25点満点中23点(平均得点4.6点)で変化率は4.0%の増加であった。
結論
対象妊婦2名のフロー状態得点は、母乳育児支援クラスにおいて、手作りした授乳人形を使った直接授乳技術獲得の練習によって1回目から2回目にかけて増加したことが明らかになった。さらに、対象妊婦のフロー状態得点の5つの下位因子の中で、1回目より2回目に増加した共通因子は【学びへの積極性】と【新たなものへの開放性】で2つであった。
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