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特集 「COVID-19パンデミックにおいて高齢者を守る老年看護の実践と今後の方向性」
生活の質を下げず,COVID-19から高齢者を守る―変える価値と変えてはいけない価値
Protecting Older People from COVID-19 without Compromising Their QOL: Values That Can be Changed and Values That Should Not be Changed
桑田 美代子
1
Miyoko Kuwata
1
1青梅慶友病院
1Oume Keiyu-hospital
pp.23-28
発行日 2021年7月31日
Published Date 2021/7/31
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- Abstract 文献概要
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Ⅰ.はじめに
2020年1月16日に国内初の新型コロナウイルス感染症(以下,コロナ)の感染者が確認された.そして,何らかの基礎疾患を有している者と高齢者がコロナに感染すると死亡率が高いと報道をされ,2月13日に国内で初めて80歳代の女性が亡くなった.この報道を受け,一気に危機感が高くなったのを覚えている.
青梅慶友病院(以下,当院)の許可病床数は736床(14病棟),入院患者の平均年齢90歳,平均在院期間3年5か月,9割が認知症を有し,9割が亡くなる超高齢者(以下,患者)の終の住処の役割を担った療養病床である.「豊かな最晩年をつくる」を理念に掲げ,治療の場である前に「生活の場」と考えさまざまな取り組みを行ってきた.それと同時に「家族のための施設」と位置づけてきた.患者家族は「できれば自分たちでみたい」あるいは,「みるべきだ」と思いながら入院を選択するケースも少なくない.そのような思いを払拭するためケアの最高責任者は病棟師長とし,患者・家族の代弁者として苦痛を強いる治療については医師へ異議を唱え,患者と家族をつないできた.しかし,コロナによりこれまで大切にしてきたことと真逆の対応を迫られた.だが,コロナ禍を経験することで,気づきや新たなチャレンジをする機会を与えられたとも考えられる.これらの経験をとおし,今後の老年看護の方向性について私見を述べたい.
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