扉
「変えてはならないもの」と「変えなければならないもの」
橋本 卓雄
1
Takuo HASHIMOTO
1
1聖マリアンナ医科大学脳神経外科
pp.211-212
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100323
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医療事故が毎週のように報道され,国民の中に医療に対する不信感が醸成されている.人々の価値観は変容し,患者の人権,安全で良質の医療,生命倫理に対する社会の関心が高まり,人々の権利意識の高まりから来るものであろう.その防止には,不幸にして起こった事故をよく分析し,同じことを繰り返さないための対策を積み上げるしかないことはいうまでもないが,それでもなお払拭されない医療不信が存在することは否めない.
先日神戸市で開催された医学系大学生命倫理連絡協議会に出席する機会があった.この会議は15年前,インフォームド・コンセント,脳死と臓器移植,終末医療と尊厳死,体外受精などの問題をどう考えたらよいかと,星野一正京都大学名誉教授らにより設立され,年2回開催されている.今回は「ヒトゲノム,遺伝子解析などの先端医療技術開発」および「倫理委員会の現状と将来の方向性」の2つのシンポジウムが企画され,先端医療とバイオエシックスについて討論された.会議とは直接関係なかったが,医療事故やなお拭い去れない医師に対する不信の解消策について,この機会に考えてみた.
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