Hospital Topics 経営
付加価値について
一条 勝夫
pp.92
発行日 1963年11月1日
Published Date 1963/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202244
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最近の経営問題のひとつは,医薬品の使用量の著増である。保険医療での使用薬剤の制限が大巾に緩和されたこともあって,この1,2年の激増ぶりは目ざましいものがある。この現象は収入面では稼働額の増加となってあらわれるから,経営当事者としては割合に楽観的であるようであるが,採算性からみるとあまり良いこととは思われない。収入の増加があっても,そのほとんどは材料購入費用にふりあてなければならずいわば病院会計を素通りする部分であって,むしろ多額,多種類の医薬品使用による業務量の増大や,倉庫や保管設備の費用の増加,物品管理上のロスなど,消極面を考えると,採算性のうえでは効果はうすいものといわざるを得ない。したがって経営的な観点からするならば,問題なのは病院に所得として帰属する部分の割合,大きさである。そのためには総収入を把握するだけでは不十分であって,この純収入分の算定が必要である。
ふつう生産経営では,企業の所得分の算出法として付加価値をとっている。これは収入のうちから,原料材料の費用,固定資産の費用としての減価償却費,他産業からの用益の購入(たとえば通信費,印刷費,修繕費など)など,収入実現のための費用であって当企業の所得とならない部分を控除した残額である。このなかから職員の資金や,地代,利子,配当,税,社内留保などがあてられるわけである。
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