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特集1 「日本老年看護学会第24回学術集会」
特別講演
豊かさは対話のなかに
Dialogue as Essential for Better Medical Treatment
暉峻 淑子
1
Itsuko Teruoka
1
1埼玉大学
1Saitama University
pp.9-16
発行日 2020年1月31日
Published Date 2020/1/31
- 販売していません
- Abstract 文献概要
Ⅰ.はじめに
本稿では,2つのことを述べたいと思っています.1つは,医療になぜ対話が求められているかということと,もう1つは,対話の大切さを考えるということです.
一般的に,「対話があった方がいいよね」という人は多いです.それはそのとおりなのですが,なぜ対話が必要なのかということを,突き詰めて根本から考えることはあまりないのではないかと思うのです.人間は心から納得していることは,体のなかにそれが入っていますから,患者に対しても,仲間との間でも,無意識のうちに対話的態度をとることができます.あるいは,対話の文化というものを身につけて,それを毎日の生活のなかに生かしています.けれども,「職場では上の人との対話がないのよ」,あるいは「子供と対話しようとしているけど保育園の送り迎えのとき以外にいっしょの時間がなくて」という程度の意識ですと,「忙しい,忙しい」という環境や,上から命令された仕事の結果をだすためにせかされ,対話の大切さは,どこかに吹っ飛んでしまっています.管理社会のシステムのひとつになって行動し,命令,伝達,報告だけになってしまうということになりかねない.いや,現実はそうなっています.
ですから,私がひとりの人間としてお伝えしたいのは,なぜそれほど対話が大事なのかということを,心底から考えてみていただきたい,ということなのです.
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