連載 感性の輝き・第21回
つながりのある豊かさ
大西 麻紀
1
1上京診療所訪問リハビリテーション
pp.215
発行日 2015年3月15日
Published Date 2015/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200069
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ご近所の人の顔を知らない,お年寄りと話したことがない,障がい者と接したことがない,生産者の思いを聴いたことがない,社会のことを知らない。このように知らなくても困らず,自分ひとりで生きていると思えることが増えてきました。私が生まれた時にはすでに家電がそろい,少し大きくなると近所にコンビニエンスストアや100円ショップが立ち並び,携帯電話を持ち始めました。苦労もせずその恩恵にあずかっていると,ただただ物にあふれた環境に何故か感謝が遠のくことを感じていました。
効率の良さが何よりも大切となり,限度を超えてそれを求めるあまり,分断されたこの社会は,本来の豊かさを失い始めているように思えました。そこで「感謝を身近に感じる」にはどうしたらよいのかを考えました。「感謝」はつながりを深める中で身近に感じます。また,つながる先を見据えることで他人任せではなく自分事としてとらえることができます。そして,つながりは自分の力以上のことを生み出すという経験をいくつも目の当たりにしてきました。
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