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日本老年看護学会設立20周年記念特集「未来への提言」 日本老年学会を構成する学会から
日本老年精神医学会の立場から─認知症患者を支えていくために
A suggestion from Japanese Psychogeriatric Society:Support for patients with dementia
柴田 展人
1,2
,
新井 平伊
1,2
Nobuto Shibata
1,2
,
Heii Arai
1,2
1公益社団法人日本老年精神医学会
2順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学
1Japanese Psychogeriatric Society
2Department of Psychiatry and Behavioral Science, Graduate School of Medicine, Juntendo University
pp.13-15
発行日 2015年6月30日
Published Date 2015/6/30
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- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
1.はじめに
今後わが国の高齢化の構造はさらに進み,2025年問題への対策について,医療,看護,介護の各領域での議論がしだいに深まってきている.老年精神医学のみならず,もっとも大きいテーマのひとつが,認知症対策である.2013年の厚生労働省の調査では,わが国の認知症患者は460万人と推定され,予備軍である軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment;MCI)を含めると800万人以上と報告された.認知症のもっとも多くを占めるアルツハイマー病(Alzheimer's disease;AD)は,年齢が上がるにつれてその発症頻度も増える.ADに対して保険適応が認められた治療薬はあり,進行抑制の効果が期待できるものの,基本的には根治薬ではない.ADの主病態はアミロイドの異常沈着であり,脳内のアミロイドを除去するいくつかの治療薬が開発中である.しかし,現段階ではアミロイドワクチン療法などがあるが,いまだ臨床治験レベルであり,実用化には相当な時間がかかりそうである.そのため2025年には相当な数の認知症患者への対策が必要になると思われる.
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