日本老年看護学会第16回学術集会特集 シンポジウム─認定看護師の高齢者に対する貢献
─摂食・嚥下障害看護認定看護師の立場から─高齢者の「食べたい」を支える看護の専門性
白坂 誉子
1
1茨城県立医療大学
pp.24-29
発行日 2011年11月30日
Published Date 2011/11/30
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はじめに
「口から食べること」は,単に命をつなぐための栄養摂取の手段としてというだけではなく,おいしいものを食べることによるストレスの発散や心理的な安定をもたらし,食事場面を通して社会的交流を深め,人の生活を豊かにする.だからこそ,どのような年代であっても食事を楽しみと感じ,おいしいものを食べることに幸福感や満足感を得るのではないだろうか.
高齢になると食事は極力軟らかいものにする,食事中のむせや痰がらみ,咳はよくあること,活動量が低下するので食事摂取量の低下や体重減少は仕方ないなど,“加齢に伴う変化”を理由になかばあきらめてしまうことはないだろうか.“誤嚥性肺炎や窒息の危険があるから経口摂取はできない”とリスクにのみ注目し,「食べられる」能力を見逃していることはないだろうか.
食べるための機能が障害されると,患者のQOLは著しく低下する.疾患や障害を抱えていても,高齢であっても「食べられる」可能性を広げるために,日常生活援助のなかのわずかな工夫でリスクを軽減できることは意外に多い.そこで,「食べたい」という思いを支え,高齢者の療養生活の質を高めるために認定看護師がどのような専門性を発揮できるのかを考えてみたい.
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