日本老年看護学会第16回学術集会特集 シンポジウム─認定看護師の高齢者に対する貢献
─糖尿病看護認定看護師の立場から─その人らしく生きるために糖尿病看護認定看護師としてできること
柳井田 恭子
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1川崎市立井田病院
pp.30-33
発行日 2011年11月30日
Published Date 2011/11/30
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はじめに
糖尿病は原則として完治することのない経過の長い慢性疾患である.そして,患者は,医療職者から指示された療養法を365日,休むことなく続けていかなければならない.療養の場は一時的に入院する病院ではなく,その人が毎日,食べて・寝て・楽しむといった生活の場が中心となる.とくに食べることは当たり前に行っている行為であるが,栄養補給であり,楽しみでもあり,治療でもありと,人によってさまざまな意味をもつ.高齢者には長い歴史のある人生や価値観があるがゆえに,“治療としての食事”と“その人の食事”の折り合いがつかずに療養法に悩む人も多い.
糖尿病看護では,患者を糖尿病に「罹患した人」ではなく「生活者」としてとらえ,病態の悪化や合併症を防ぎ,その人が望む生活を送ることができるよう支援していく.また,その人の療養生活を支える体制となるよう,職種間のチーム調整も看護師の重要な役割となる.
チーム調整をする際には,われわれ医療者がどうしたいかではなく,患者がどうしたいかを探り,常にだれのための支援であるのかを見失わない客観的な視点を持ち続けることが大切である.そして,各スタッフが“集約された知識を患者の生活にどう応用するか”を考えることができるようにリーダシップをとることも糖尿病看護認定看護師として大切な役割である.
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