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はじめに
世界保健機関(WHO)は,2001年の総会で国際生活機能分類(ICF:International Classification of Functioning, Disability and Health)9)を採択した。国際障害分類(ICIDH:International Classification of Impairments, Disabilities, and Handicaps)1,8)の改定が21年ぶりになされたことになる。日本では厚生労働省訳が2002年8月に出版された5)。
日本では,1987年の精神衛生法の改正に続く90年代の一連の法改正の過程で,ICIDHの概念モデル,つまり病気と障害の関連と相違,障害の3つの次元の区別と関連などの枠組みが活用され,精神障害者が経験している異なる次元の問題に対して医療,社会復帰訓練,福祉などの異なるアプローチが必要であり,有効であることが確認されてきた4)(図1)。精神障害者保健福祉手帳の認定でも機能障害や能力障害の概念が基礎となっている。一方,臨床分野でも1997年に「精神障害とリハビリテーション」誌で障害構造論の特集が組まれる2)など,政策・制度でも臨床でも,精神医療保健福祉分野は最もICIDHに強い関心を示してきた分野の1つであった。
日本のこうした状況の中で今回のICFへの改定がなされた。以前から「ICIDHは成人の身体障害者を念頭に作られているため児童や精神障害,知的障害分野では使いにくい」との批判も寄せられていた。そのため児童分野や精神障害分野で使いやすいものにするための特別な作業グループがWHO承認のもとに作られ,その提言も踏まえての改定であったため,ICFでは学習とか対人関係などの項目が充実した。これらのことから,日本の精神医療保健福祉の分野でのICFの活用や検討が今後いっそう進むことが期待される。
本稿では,ICIDHからICFへの流れを概観し,ICFの内容を詳しく紹介し,その改定の主要点を整理するとともに,活用に向けてのいくつかの提言を行いたい。
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