日本老年看護学会第3回学術集会特集 会長講演
老年看護学研究の現状と展望
七田 恵子
1
Keiko Shichida
1
1東海大学健康科学部
1School of Health Sciences, Tokai University
pp.6-10
発行日 1999年11月1日
Published Date 1999/11/1
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- 文献概要
はじめに
老人看護学のカリキュラムが成人看護学から独立したのは平成2年からであり,最近のことである.また,日本老年看護学会は誕生したばかりで,ようやく3回目を迎えたにすぎない.したがって,老年看護学研究の歴史は浅く,現状と展望を語るには時期尚早かも知れない.老年看護学は現在の高齢化を迎えた社会情勢から,緊急性,重大性をもって期待されている.今後,老年看護学研究をどのように進めるべきか.この時期に考え直してみる必要があると考え,このテーマを取り上げた.
わが国では歴史と伝統のある日本看護学会は,第20回大会(1989年)から老人看護を成人看護から独立させて新しい老人看護分科会を設立した.
今回,老人看護分科会において,1993年から1997年まで5年間に発表された284題の抄録を分析した.老人看護分科会には主として病院に勤務する看護職が参加発表しているので,広く病院・施設における看護婦の発表内容を知ることができる.
一方,今回の日本老年看護学会第3回学術集会では64題応募いただき,抄録数は年々増加の傾向がみられる.本大会は主に教育関係者が多数参加している.会長講演に際し,1回大会から今大会を含めて3回分の抄録,158演題の発表内容を分析した.両学会の比較を試みて老人看護学研究の現状を知ることとした(表1).日本老年看護学会の抄録に関しては,対象数,研究方法についても集計したが,結果の導き方や図表についての意見を抄録のみから評価するには情報が乏しいので今回は省略する.
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