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心臓リハビリテーションの病院・診療所における現状
心臓リハビリテーションはこれまでの多くの研究により,循環器疾患の治療として有用性が認められるようになった1).2006年度の診療報酬改定では対象疾患が大血管疾患,慢性心不全,末梢動脈閉塞性疾患に拡大され,名称も「心疾患リハビリテーション」から「心大血管疾患リハビリテーション」と変更された.また2010年度の改訂では施設基準もさらに緩和された.2011年3月時点で心大血管疾患リハビリテーション料届出医療機関数は施設Ⅰと施設Ⅱを合わせて608施設と増加している2).
しかしながら,これまで本邦における心臓リハビリテーションの普及率は決して高いとは言えない.2004年に後藤ら3)は「わが国における心疾患リハビリテーションの実態調査と普及促進に関する研究」を行った(図1).それによれば,循環器専門医研修施設の97%が心筋梗塞(acute myocardial infarction;AMI)の入院を受け入れ,90%以上の施設で冠動脈造影や冠動脈形成術を施行されている.研修関連施設においても多くの施設で同様の治療がなされているのに対して,心臓リハビリテーションの実施率は著明に低く「AMIになんらかの心臓リハビリテーションを実施している」,「AMIの急性期心臓リハビリテーションを実施している」施設は約半数で,「AMIの回復期心臓リハビリテーションを実施している」施設は20%,「外来通院型心臓リハビリテーションを実施している」施設は9%に過ぎなかった.心臓リハビリテーションを実施しない理由は「スタッフ不足」,「設備がない」,「施設基準を取得していない」であった.これまでにこれらの課題に対しては診療報酬の付加や施設基準の緩和などによる対策がとられてきた.しかし上月4)は診療報酬を付けるだけではなく,患者にとって時間的・経済的・内容的にもっと魅力的な患者主体の新しいプログラムシステムを作成する必要があると報告している.
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