日本老年看護学会第3回学術集会特集 シンポジウム
老年者に起こりやすい問題とケア研究の方向性
地域要介護高齢者のADL自立への看護に関する研究について
深谷 安子
1
Yasuko Fukaya
1
1東海大学健康科学部
1School of Health Sciences, Tokai University
pp.11-15
発行日 1999年11月1日
Published Date 1999/11/1
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Ⅰ.地域リハビリテーションとは
わが国における要介護老人数は,2000年には280万人に上り,そのうち寝たきり老人は120万人になると推計されている.これらの寝たきり老人の主な原因疾患は,脳卒中等の運動機能障害を伴う疾患である.寝たきりを予防するには,このような原因疾患の予防や関連するリスクファクターの減少を図るとともに,運動機能障害が生じた場合の日常生活行動(Activities of Daily Living;以後ADLと略す)の維持,改善を図ることが必要である.そのためにはADLの維持・向上を目標としたリハビリテーション(以後リハビリと記す)が重要となる.
リハビリは,一般的にまだ機能訓練として捉えられがちである.しかし,1982年の,国連,障害者に関する世界行動計画で「リハビリは,身体的,精神的,かつまた社会的に最も適した機能水準を可能にすることによって,各個人が自らの人生を変革していくための手段の獲得をめざし,かつまた時間を限定したプロセスである」と定義された1).このようにリハビリは機能回復訓練にとどまらず,人間が自分の人生を主体的に変革していくための手段の獲得プロセスとされ,人間の権利としての包括的な概念である.
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