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1.はじめに
活動している脳を対象にして種々のトレーサの集積と移動を追跡できるポジトロンCTは,人間の脳と精神の研究にまたとない機会を提供してくれるものである。しかしながら,サイクロトロンから標識化合物の合成を経てポジトロン・カメラによる計測と解析に至る一連の過程は,どれ一つ取り上げてもまだ開発と改良の途上にあるものばかりであり,とうてい完成された臨床検査機器とは言い難い。この意味で,ポジトロンCTはあくまでまだ"未完の大器"36)であり,これを用いた本格的な脳と精神の研究はこれから進展するものである。もちろん現在でも各施設で比較的簡単に実用化可能な11CO2や15O2などの放射性ガス類も,粗大な脳損傷や循環障害の検出には十分役立ちうる。ポジトロンCTのこのような利用法は,NMR-CTや高性能X線CTと並んで,今後も行なわれていくだろう。しかし糖やアミノ酸をはじめとする物質代謝動態となると,現在のところ,ポジトロンCT以外にわれわれは手段を持たない。
けれども,ポジトロンCTによる脳・精神疾患研究の本来の標的は,糖や酸素などの非特異的代謝活動にではなく神経受容体をはじめとして精神機能を産み出しているさらに特異性の高い微量物質群の挙動にある。
The principal findings revealed by our 18F-fluoro-2-deoxyglucose (18FDG) and 15O-oxygen study were reviewed in the former part of this paper.
(1) The effect of surgical severing of fiber connections on the terminal gray matter was clearly demonstrated in the following examples. A patient with the injured left optic radiation showed a markedly decreased 18FDG uptake in the ipsilateral primary visual cortex. The extent of the decrease was larger in the secondary visual cortex (~60%).
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