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Ⅰ.はじめに
特別活動の教育的な意義は、社会性の育成、知識を総合し応用する能力や態度、技術を実践する能力や態度の育成など、人間形成の一環を担っているといわれている1)。このような特別活動で養われる社会性、応用能力、態度は、看護における他人との望ましい人間関係を形成する重要な要素と考える。そのため、従来、わが国の看護基礎教育では、保健師助産師看護師学校養成所指定規則(以下、指定規則とする)指定された教科目以外に教育キャンプや学校祭、各種式典など多くの特別活動が行われてきた。
これを受けて、1972年と1973年には、全国看護教育研究会2),3)において、「看護教育における課外活動を考える」というテーマでシンポジウムが開催されており、課外活動である学校行事に関しては賛否両論で話し合いがなされている。この時代の看護学校の学校行事には、儀式的行事、戴帽式、野外活動、研修旅行といった類のものが多く、学校行事の意義として自己の発見や責任感、連帯感、社会的存在としての文化的教養と創造的能力の発展を図り、豊かな人間性を確立していくことを助成していくことや社会的秩序の育成などがあげられている。また看護基礎教育における、課外活動の教育的効果について杉4)は、課外活動は教育的要素を持って行われるべきであり、意義については自主的な個の確立と民主的な協同活動の場であるとしている。1960年代後半の看護教育カリキュラムについて、ほとんど自由選択のない画一的なカリキュラムと学事暦を作成し、看護婦として最低限に必要な一般教養と専門的知識や技術の「教え込み」をし、学生はただ教え込まれることをただ受動的に受け取り、自分の力で抽象的な理論を組み立てることができない型にはまった人間になることを危惧し、この一つの救い手として課外活動をあげている。久保5)は、特別教育活動は、即人間形成に結びつくものではないが、個人の心の中に何らかの形で生き続けていくものであり、新しいものを発見する機会の一つの手段であるとしている。
このように、看護基礎教育における特別活動は、古くから体験的な学習や集団活動をとおして、思いやりや優しさを育んだり、協調性や自主性、主体性など社会性が養われるための教育活動として注目され続けてきたことは明らかであるといえる。
しかし指定規則で指定された教科でないためか、他の基礎科目や専門科目のように、教育目的や目標が明確に位置付けされてきてはいない。例えば、平成元年のカリキュラム改正時に、看護師養成所の運営に関する手引きの教育に関する事項の箇所で、「教育目標を達成するために各養成所が設定する、学科試験、行事、特別講義等の時間は指定規則に定める時間数の1割程度とする」6)とあるが、平成8年のカリキュラム改正で単位制が導入されると、上記の記述は姿を消している。
だが特別活動は、単に学生が活動さえしておればよい、というものではない。前述したような特別活動の内容を媒介としてその目標を達成するためには、たえず学習者の活動を尊重した適切な教員の指導が必要不可欠となる。そこで今回、今まで報告のあった看護基礎教育における特別活動の実践報告から、特別活動が効果的に行われるためにどのような点に留意して指導をしたらよいかを整理し、文献的に考察することは、今後の教育方法を検討する上で意義があると考えた。
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