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Ⅰ.はじめに
子どもにとって遊び(PLAY)は生活そのものであり、子どもの遊びのニードを保証することは、看護婦の重要な責任である。Muller.D.J.ら1)は、PLAY(プレイ)を、“Participation(参加):遊びに参加することは不慣れな環境の中で精神の安定をもたらす・Lessens(緩和):痛みや不安からくる衝撃を緩和する・Allows(可能にする):子どもの興奮や恐怖に対し、努力してのり越えることを可能にし、その結果、入院がよい体験になる・Yields(生む):回復を早め入院期間が短くなるという結果を生む”と述べている。このように子どもが、遊びをとおして喜びや楽しみを味わい、生き生きとした状態を作ることができれば、子どもの新陳代謝が高まり、健康回復につながっていくことになるのである。さらに、入院という限られた状況の中で、身体的・精神的に成長・発達していくためにも、遊びが十分に展開できるよう看護婦の関わりが大切である。
筆者らは、先に小児病棟で実習を行った学生を対象に、受持ち患児への遊びの援助(遊びの要素を取り入れた援助も含む)に関する調査2)を実施した。その結果、学生は病児への遊びの援助をとおして、信頼関係を築き、患児の発達の理解に役立てるなど、遊びの機能や重要性を再認識していた。また、患児の自主性・主体性を大切にし、子どもの気持ちに寄り添った遊びの援助を心がけていたことを報告した。しかし、受持ち患児との関わりのみでは、病児の理解が不十分であると考え、子ども本来の姿を学ぶ機会の一つとして集団プレイを実施している。
小児看護実習で集団プレイを実施することについては、多くの先行研究により3-5)以下のような教育的効果が明らかにされている。①遊びの意義を多面的に捉え、小児の生活における遊びの重要性について理解できる、②患児の個別性や子どもの特徴を知る事により、子どもへの理解が深められる、③集団プレイの必要性を理解できる等である。一方、短い実習期間に集団プレイを取り入れる事については、学生にとって負担にならないような工夫が求められている。
今回は、集団プレイ記録及び質問紙調査より、集団プレイの実施状況・学生の自己評価・集団プレイを十分に実施できなかった要因・学生の学びについて明らかにする。
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