Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
Ⅰ.はじめに
8月3日〜5日にかけ、低気圧に伴う前線により東北・北陸地方を中心に猛烈な雨が降り、記録的な大雨となった。また8〜13日にかけては北海道・東北北部でも記録的な大雨になり、全国的に大きな被害がもたらされた。河川の氾濫では、48水系124の河川で決壊、越水、溢水した。土砂災害では1道17県で194件発生、人的被害では5県で死者2人、行方不明者2人、重傷2人、住宅被害では1道19県で全壊26棟、半壊518棟、一部損壊302棟、床上浸水1,711棟、床下浸水4,163棟に及んだ(9/2 11時現在)。適用された法律に関しては、5県35市町村で災害助法が適用され、うち5県8市町村で被災者生活再建支援法が適用された。なお、8月23日付けで内閣府より激甚災害見込みの指定がなされ、以降にも適用範囲地域の拡大が予測された。
福井県では、中央部に位置する南越前町が、8月4日からの大雨により、最大1時間雨量93.0mm(南越前町荒井)、24時間雨量567.0mm(南越前町荒井)を記録し、8月の24時間降水量が観測史上1位を記録した。この大雨の影響により、町内を流れる一級河川の鹿(か)蒜(ひる)川が氾濫し、全壊7棟、半壊53棟、床上浸水78戸、床下浸水92戸の被害が生じた(9月9日11時現在)。ライフラインの被害として、堺・鹿蒜地区、今庄・湯尾地区、赤萩地区にて最大で1,093戸に断水被害が生じ、堺・鹿蒜地区においては、8月7日時点で復旧の見通しは立っていなかった。そのほか、斜面崩壊や土砂流出により多くの道路が損壊し、嶺北地方と嶺南地方を結ぶ鉄道や道路など、交通の大動脈が分断された。それにより、南越前町における、過疎化や高齢者率が高い集落などへの深刻な被害、特に孤立集落が点在することが予測され、以降も人的・物的被害が増えていく可能性があった。このため、被災状況の全体像と支援ニーズの把握を行うために、8月7日から13日にかけて日本災害看護学会先遣隊として被災地に入った。被災住民等の健康管理や医療ボランティアのコーディネート、関係機関との調整を通し今後の災害支援に関する課題について示唆を得たため報告する。
Copyright © 2022, Japan Society of Disaster Nursing All rights reserved.