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1.はじめに
2018年2月3日から8日にかけて冬型の強い気圧配置が続き、日本の上空には非常に強い寒気が流れ込み続けた。この影響により、北日本から西日本の日本海側を中心に断続的に雪が降り続き、特に福井県嶺北地方を中心に記録的な大雪となった。福井市では『昭和56年豪雪』以来、37年ぶりに積雪が130cmを越え、最深積雪は147cmに達した。この大雪により、県内の鉄道やバスなどの公共交通機関が終日運休、また高速道路や主要な国道が通行止めとなり、至る所で渋滞が発生した。福井県内を横断する国道8号線では、2月6日午前から1500台以上の車両が停滞し、その距離は最大で約20kmにも及んだ。福井県は、停滞車両を早急に解消するために、陸上自衛隊に災害派遣要請を行ったが、連日の降雪によって除雪は難航し、解消するまでに3日を要した。さらに、えちぜん鉄道、福井鉄道の線路や駅構内における除雪、福井市内の排雪場開設のために再度災害派遣要請を行い、大雪に関するボランティアセンターを設置し、生活道路や高齢者宅などの除雪を行った。
今回の大雪により、学校の休校や企業の休業が余儀なくされ、交通網の麻痺によって救急搬送の遅れや灯油やガソリン、食料品などの生活物資が不足し、市民生活に多大なる影響を与えた。また、雪の重みによって住家や農業用ハウスが損壊し、除雪作業による死者、重軽傷者も発生した。これらの被害の甚大さから福井県内の9つの市町に災害救助法が適用された。
福井県は、国の豪雪地帯・特別豪雪地帯に定められており、過去には、『昭和38年1月豪雪』、『昭和56年豪雪』、『平成18年豪雪』と数々の豪雪災害に見舞われている。しかし、今回の大雪は、近年経験しておらず、積雪量に関しては先にも述べたように『昭和56年豪雪』以来37年ぶりであり、当時よりも高齢化や過疎化などが進んでいる現状がある。そうした社会背景も踏まえながら大雪による人々の健康や生活への影響について明らかにし、今後の災害に生かすべく、住民へのインタビューや各医療施設の調査を実施したので、ここに報告する。
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