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はじめに
わが国は、国土の約6割が豪雪地帯あるいは特別豪雪地帯であり、現在、豪雪地帯あるいはそこで生活する人々の高齢化・過疎化か日常生活や社会生活に大きな影響を及ぼし深刻な問題となっている。冬の日本列島は、シベリア寒気団や暖流の影響で特に日本海側で大雪となる傾向にあり、毎年死者および負傷者が発生している。このため、雪害対策に関する研究や道路雪害に関する研究、雪害と暮らしに関する研究が大学や企業で継続されてきた。雪害は、地域の気象条件や地形条件や積雪認識によってかなり地域差があると考えられるが、近年の暖冬傾向と道路除雪体制の整備により、全国的に豪雪地域の生活は安定に向かっていると考えられていた。
しかし、地球温暖化の影響を受け2005年から2006年にかけて日本国土を襲った大雪は、『平成18年豪雪』と命名され、平成18年3月31日現在で、死者150名と報告された。過去に発生した雪害『昭和38年1月豪雪』時の死者は231名、56豪雪時の死者は152人であったため、平成18年豪雪は戦後3番目の被害となった。何故、このように多くの犠牲者が出たのだろうか。死者および負傷者のうち、屋根からの転落事故は65歳以上で64.5%にも及んでいるが、高齢化による影響とは具体的には何を意味しているのであろうか。人々の生活への影響を科学的数値だけではなく、ありのままの現象として捉え分析し、対策を検討することが急務であると考える。
福井県は、豪雪地帯、一部特別豪雪地帯を含む県である。2005年12月4日から大雪に見舞われ、各地で、人的・物的被害が続出した。特に56豪雪以来の20年ぶりの降積雪量となり、14名の死者、100名を越す負傷者という福井豪雨災害を上回る被害となった。また、福井県の豪雪地帯の高齢者は平均25.6%、高齢者の屋根からの転落事故は71.4%であり、要援護者の問題が湧き上がった。この他、家屋の全壊・半壊・一部破損、ライフラインの寸断、交通麻痺、農作物への被害も発生し、住民の健康や生活への問題が顕在化した。本論文は福井県での雪害による生活や健康への影響を記述した雪害調査報告である。
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