Japanese
English
【巻頭言】
災害看護の研究と「現場性」
Disaster Nursing-The Study of On-Site Experience
池川 清子
1
Kiyoko Ikegawa
1
1神戸市看護大学
pp.1
発行日 2003年12月31日
Published Date 2003/12/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7008200303
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
阪神・淡路大震災の後、公的、私的を問わずおびただしい数の災害研究が報告されている。災害看護の領域においても当学会誌の震災直後からの発刊によって、災害看護の現状が多くの人々の目にふれることとなった。それらの多くは大なり小なり災害救助という極めて実践的で、緊急を要する活動が時には実践報告として、また時にはより抽象度の高い論文として積み重ねられたものである。
こういった報告や研究論文を読み進めていく中で、自ずと災害看護を学として基礎づけるものが何なのかという問いに直面してしまった。というのは、優れた災害看護の報告書の多くが、「災害看護の対象が人間であること」。「生活者としての人間を重視すること」、「多様な価値観を認めること」、そして「一人ひとりの個別性を尊重すること」などを災害看護学の重要な課題であると結論づけている。これらをどの側面から切り取ってみても、すべてが看護学にとって本質的に不可欠なものであることに気づかされる。それでは災害看護学を一つのディシプリンたらしめている独自性をどこに求めればよいのか。思索の出発点で大きな方法論的課題に遭遇してしまった。
Copyright © 2003, Japan Society of Disaster Nursing All rights reserved.