看護研究—その対象と方法

はじめに

　この10年来，看護というひとつの実践領域において，看護研究ということへの関心が急激にたかまりつつある．またその関心は，大なり小なり看護の学的体系化への努力であるといえる．しかしながら，看護研究学会を概観しただけでも，その研究内容がきわめて多様であり，一見するとそれらの間になんらの共通点も見い出せないほど錯綜した事態を呈していることは，だれもが承知しているところである．

　さらに昨今では，部分的には，かなり高度な医学的実験の技術や社会科学的調査分析の技術を適用した研究なども発表されるようになってきており，このことからかえって看護研究とは何かを再考させられる事態に立ち至っているといえる．