Japanese
English
【巻頭言】
災害看護研究の積み重ね
Accumulation of Body of Knowledge for Disaster Nursing
片田 範子
1
Noriko Katada
1
1兵庫県立看護大学
pp.1
発行日 2002年5月30日
Published Date 2002/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7008200345
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- Abstract 文献概要
災害看護について、年次的に発表されている文献を検索し、知識の積み重ねの状況を把握し体系化できるような蓄積を行おうという試みを災害看護学会が中心となって研究班をおいて行っている。災害看護に関連する文献検索を阪神淡路大震災後の1998年に行い、さらに昨年は1995年〜2000年の間の文献について検索を実施した。報告や総説を合わせると200件を越えるものが発表されてはいるが、研究論文として発表されたものに絞って得られた結果は国外英文文献では29件、国内のものでは19件であった。災害が生ずるのは日常的なことではなく、大きな災害についても必ずしも看護が関わらずに収束してしまっているものも多い。看護の研究者の多くが臨床現象をそれぞれの「研究領域」としてもち、その領域での研究の積み重ねに勢力を注いでいる。災害のどの観点が自分の「研究領域」として食い込んでいくのかを意識することが積み重ねの原点になる。一方、研究者が災害地域で体験を共有していると、なかなかその災害について研究することを躊躇する心理的動きが生じ、必要性を認識しながらも動きが取れない状況が生ずる。かといって、災害に取りかかろうとするその意識は災害を身近に感じ、そこへのコミットメントが研究を発動していることも感ずる。このパラドックスをどのように越えて、あるいは許容しながら、自分の研究領域を確立するかが問われることになるのだと思う。
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