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Ⅰ.緒言
日本では,年間19,000人以上の若年成人(18〜39歳)が新たにがんに罹患している1).彼らは,がんの診断や治療によりさまざまなライフイベントにも大きな影響を受けることから,ライフステージに合わせた支援の構築が必要となる.国内では2017年に第3期がん対策推進基本計画において,「AYA世代(Adolescents&Young Adults;思春期若年成人期)のがん医療の充実」が重要課題の1つとして挙げられ2),医療体制の構築に向けて動き始めている.
特に若年成人にとって,がんやがん治療による性・生殖機能障害は,その後の恋愛・セクシュアリティに影響を与えることから,性や生殖への支援も重要となる.National Comprehensive Cancer Networkのガイドラインでは妊孕性温存や性の健康,機能はAYA世代にとって重要なことであり,がんや治療にともなうリスクを治療前に話し合う必要性を明記している3).しかし,がんにともなう不妊に関する情報のニーズは20歳代が最も満たされていないこと4)や,有害事象への対処方法だけでなく,パートナーへの性問題の伝え方に関する情報や同世代のがん経験者と議論する機会に関する情報のニーズも満たされていないことも報告されている5).国内で行われたAYA世代がん患者・経験者へのアンケート調査でも,“不妊治療や生殖機能に関する問題”に対する悩みは,治療中のがん患者・治療後1年以上が経過した人いずれも上位の項目に挙がっている6).このように,若年成人がんサバイバーは,性・生殖に関する多くの支援ニーズをかかえているが,十分に満たされておらず悩んでいる現状がある.
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