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Ⅰ.緒言
緩和ケアは世界保健機関の定義が2002年に改訂され,病期を限定せず治療とともに早期から提供することが示されている1).さらに,国際的な動向として緩和ケアは病期ではなく,患者や家族のニーズによって提供することが推奨されている2)〜4).この患者や家族のケアニーズを評価し分類する尺度として,Phase of Illness(以下,PoI)がある.英語の表記としてはPhase of Illnessのほかにも,Palliative Care Phase,Palliative phase of illnessなどの名称が使用されているが5)6),本研究では国際的な緩和ケアの学会においてコンセンサスが得られているPoIの表記に統一した7).
PoIは1980年代半ばにオーストラリアで開発され,医療者が緩和ケアの患者や家族のニーズを評価し5つのフェーズに分類する尺度である8).それまでオーストラリアでは,Australian National Diagnosis Related Groups(ANDRG)という急性期医療と同様の医療システムを適用していたが,緩和ケアの患者では再入院率の上昇,介護施設への入所数の増加などケアの質の低下がみられた9).そこで緩和ケアにおける患者や家族の状況を医療システムに反映できるよう,安定期・不安定期・増悪期・死亡直前期・死別期の5つのフェーズに分けるPoI(表1)が開発されデータ収集された6).さらに,PoIに加え症状の程度などのデータを収集し,患者をケース分類することで,緩和ケアにおける医療費や医療資源の分配が可能なことが報告された9).2005年からオーストラリアは,国家的プロジェクトとしてPalliative Care Outcomes Collaboration(以下,PCOC)を開始し,患者の症状やPoIのデータ収集を行い6カ月ごとに施設間やベンチマーク(全国的な指標)と比較や改善点を示すことでケアの質向上の成果を示している10).
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