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資料
高齢がん患者の意思決定支援における医療者エイジズムの様相:文献レビュー
Aspect of ageism among health care professions in decision-making support for elderly cancer patients: A literature review
池田 篤哉
1
,
木村 安貴
2
Atsuya Ikeda
1
,
Yasutaka Kimura
2
1名桜大学大学院看護学研究科
2名桜大学人間健康学部
1Graduate School of Nursing, Meio University
キーワード:
高齢がん患者
,
意思決定
,
エイジズム
,
文献レビュー
,
elderly cancer patient
,
decision-making
,
ageism
,
literature-review
Keyword:
高齢がん患者
,
意思決定
,
エイジズム
,
文献レビュー
,
elderly cancer patient
,
decision-making
,
ageism
,
literature-review
pp.74-80
発行日 2023年12月31日
Published Date 2023/12/31
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
Ⅰ.研究背景と目的
わが国の高齢化率は28.4%であり,全がん罹患者の75.1%が65歳以上の高齢者である1).第3期がん対策推進基本計画の分野別施策では高齢者のがん医療の充実が盛り込まれており2),高齢者の視点をふまえたケアの必要性が高まっている.
高齢がん患者の課題の1つとして意思決定の課題があり,高齢がん患者は自身で十分に意思決定を行うことができていない事例が報告されている3)4).その要因には,がん治療技術の発展にともなう治療選択の複雑化や,加齢にともなう身体・認知機能の低下により,治療の説明や意思確認が難しい場合があり,家族を中心とした意思決定や治療の差し控えの提案がなされている現状がある5)6).また,高齢者を対象とするがん標準治療は未だ十分に確立されておらず,治療選択が医療者の裁量に任されていることが少なくない7).そのような現状のなか,医療者が高齢者の意思決定を阻害している可能性もある.具体的には,高齢であるため自身で意思決定を行うことは困難だと決めつけ,治療方針を家族のみで相談し決定したり4),十分なアセスメントを行うことなく治療にともなう侵襲に耐えることができないと決めつけ,治療の差し控えを検討する事例が報告されている8)9).このような,医療者の高齢者に対する,年齢を理由とする決めつけや偏見,すなわちエイジズムが高齢がん患者の意思決定支援に関連している可能性がある.
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