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研究ノート
生活行動から「からだ」をとらえる―看護学における解剖生理学
Anatomy and Physiology in Nursing Science from the Perspective of Daily Activities
菱沼 典子
1
Michiko HISHINUMA
1
1聖路加看護大学
1St. Luke's College of Nursing
pp.48-52
発行日 1994年6月30日
Published Date 1994/6/30
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1.はじめに
人間を,健康と言う側面から対象化して考えた場合,健康状態を表出している「からだ」の理解がなくしては,看護は成り立ち得ないであろう。看護学において,人体に関する知識の必要性は広く認められており,看護教育では,解剖生理学が必修科目になっている。
現在の看護学,また看護教育において,我々が用いている人体の知識は,医学で発達した解剖学・生理学である。解剖学はからだの構造の解明を目的とし,生理学はからだの働きや働き方の解明が目的であり,共に,疾病の解明と治療に役立つことを最終目的とする学問である。疾病の解明を目的とする解剖学・生理学のからだの見方は,からだを分析し,系統別に見る方法をみいだした。
しかしながら,消化器系・呼吸器系・神経系などの系統別なからだの理解の方法は,疾病の解明や治療を最終目的とはしない看護学に,どれほど有用であろうか。
既に看護婦の手によって,いくつかのからだのみかたが提案されている。Anthony1)は解剖学・生理学の教科書を著わし,全体としてのからだ・支持と運動・コミュニケーションとコントロールと統合・流通・呼吸と栄養と排泄・生殖・防衛と適応の7項で構成している。基本的には系統別であるが,その組み合わせによって,統合してみようとしてることがうかがわれる。薄井2)は「からだの各部が生活者としての人間をどのように支えているか」という観点から,全体として人体と部位毎の人体の解説を試みている。
本論では,看護学の目的に合った,看護実践に結び付くからだの理解の仕方を求め,看護教育における解剖生理学の在り方を考えたい。
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