特集2 「行動」に着目するMORI式看護過程が精神科看護をとらえやすくする
【理論編】観察しているのは「行動」、とらえたいのは「こころ」
森 千鶴
1
1国立看護大学校・精神看護学
pp.48-54
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100029
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1 「本当に観察しているのは行動である」という気づき
私たちが患者を観察するとき、「精神症状を観察する」と言いながら実際に観察しているものは何であろうか。例えば、「耳を押さえている患者」「誰もそばにいないのに話している患者」など、患者の〈行動〉を観察して「幻聴があるのではないか」あるいは「独語している」という解釈あるいは判断をしている。
これまで私たちは、あたかも患者の〈こころ〉の状態を観察し記録しているつもりであったが、実際は違うのではないかと思った。患者のこころは直接観察できないからである。すなわち私たちが観察しているのは患者の行動なのである。
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