特集 行動医学へのアプローチ
生活行動と健康—運動の行動医学的アプローチ
下光 輝一
1
,
岩根 久夫
1
,
大谷 由美子
1
,
小田切 優子
1
1東京医科大学衛生学公衆衛生学教室
pp.254-257
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901012
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◆はじめに
現代における急速なモータリゼーションと技術革新は,職場や家庭における人々の身体活動度の急速な低下をもたらしており,運動習慣を有し身体活動度を高めることは,以前にも増して重要なことになってきている.それに伴い近年,ジョギングやウォーキングなどの健康のためのスポーツが,中高年者を中心に盛んになりつつある.運動による健康づくり政策を推進する厚生省,労働省をはじめとして自治体,民間企業なども,こぞってスポーツや運動による健康増進を奨励している.そのような中で,運動の効果と弊害について,様々な面から研究が行われてきた.しかし,それらは心臓血管機能,糖・脂質代謝,内分泌機能などに関する生理学的,生化学的な研究が主で,運動の効果と弊害についての行動医学的な研究は少なかったように思われる.
運動は,食,住,性などと同様に人間行動の基本となるものであり,また,ライフスタイルの中では喫煙,飲酒などのネガティブな行動と異なり,健康に対してポジティブな行動である.したがって運動と健康の問題も行動医学という面からとらえていく必要がある.そこで本稿では,運動と健康について行動医学的な面から検討してみたい.
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