日本看護診断学会・第26回学術大会報告 【会長講演】
日本型看護診断の夜明け—日本の臨床に根差した看護診断の創造
奥津 文子
1
Okutsu Ayako
1
1関西看護医療大学看護学部
1KANSAI University of Nursing and Health Sciences
pp.22-25
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7004200055
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I. 改めて,看護診断とは
看護界において「診断」という用語が用いられたのは,1950年代,米国のMcManusが最初だと言われている.看護師の行う知的活動を「診断」と表現したのである(McManus, 1950).これを出発点とし,「看護診断」の開発を組織的に行うことに着手したのが,1984年設立の「北米看護診断協会(以下,NANDA)」であった.
今ここで改めて,「看護診断とは何か」について確認しておきたい.米国看護師協会(American Nurses Association;以下,ANA)は,1980年に看護を「実在または潜在する健康問題に対する人間の反応を診断し治療することである」と定義した(日本看護協会出版会編,1984,p. 24).これが「看護診断」の基礎になったことは周知の事実である.これをベースに,NANDA-Iは看護診断を「個人・家族・集団・地域社会(コミュニティ)の健康状態/生命過程に対する反応及びそのような反応への脆弱性についての臨床判断である.看護診断は看護師が責任をもって結果を出すための看護介入の選択根拠になる」(Hardman & 上鶴,2015/2015,p. 501)と定義づけた.また,ANAは「診断とは,感知されている困難ないし必要に名前をつけることによって客観化し,その問題を解決するための行為を推測し,実際に行うにあたっての基板にしようとする最初の作業である」(松木光子編,1988,p. 7)と定義した.
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