連載 あのころ あのとき・20
日本角膜移植の夜明け
今泉 亀撤
1
1岩手医科大学
pp.1319-1324
発行日 2002年8月15日
Published Date 2002/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907835
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1.眼科医の執念
「何よりも嬉しかったのは字が読めることだった。見えると云う事は何てすばらしい事なんだろう。字を書く練習。それまでは音だけで習っていたピアノも五線符のオタマジャクシを眼で追いながらのレッスン,教科書も点字から普通の字の本を使うようになった。私の世界は大きく変った」。
これは1957(昭和32)年に私が行った角膜移植手術で光を取り戻した少女の手記の一部だ。手術を受けたときは盲学校6年生。手記は12年後,20代になってから書かれたものだが,当時の喜びを生き生きと映し出す。
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