日本看護診断学会第23回学術大会報告 患者像をつかむ! 看護診断をケアに活かそう
【会長講演】
患者像をつかむ
任 和子
1
Kazuko Nin
1
1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
1Human Health Sciences, Graduate School of Medicine, Kyoto University
pp.23-26
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7004200033
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I. はじめに
「団塊の世代」がすべて後期高齢者となる2025年に向けて,効率的な医療・介護提供体制の構築を目指して制度が作られている.2018年度は第7次医療計画がスタートし,診療報酬・介護報酬同時改定となる.自分の住む地域をみても,すでに医療提供体制は大きく変わった.回復期機能の病院が増え,訪問看護や訪問介護を受けることも,住民にとって特別なことではなくなりつつある.しかしその一方で,看護職として,患者や家族に十分な看護が提供できる仕組みになっているかと問われると,課題は山積している.
時代とともに変わらなければならないことがあり,時代が変わっても変えてはならないことがある.どのように時代が変わっても変えてはならないことの一つは,患者や家族と信頼で結ばれる関係を築くことに価値をおくことである.一回限りの関わりであっても,長期的な関わりであっても,信頼で結ばれる関係を築くことが,看護の目指すところであろう.
そのためには,一人の人間として看護師が患者と出会い,一人の人間として患者が看護師と出会う必要がある.そのことについて考えようと思い,本講演のタイトルを『患者像をつかむ』にした.
本稿ではまず,「大学病院の管理職として感じたこと」として,看護現場で「患者像をつかむ」ことが簡単ではないということを述べる.続いて,「患者像をつかむための学習」として,特に看護基礎教育での取り組みについて述べる.
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