新卒業生に贈ることば
真理をつかむチャンス
富田 仁
1
1京都大学医学部付属病院中央検査部
pp.102
発行日 1964年2月15日
Published Date 1964/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916724
- 有料閲覧
- 文献概要
2年間の専門教育を無事終えて,実社会に出て行かれる諸君に祝福の言葉をおくります。一抹の不安やら解放感の喜びやら,さまざまの気持でいっぱいでしょう。この後の国家試験の関所を通過するまでは,本当に卒業した気持にならないかも知れません。しかし大部分の方が就職先も決定し,新しい希望に燃えていられることと思います。
公衆衛生,臨床検査室などで衛生検査技師の果たす使命は年々増大していっています。日本には少なくとも約30,000人の衛生検査技師が必要だといわれているにもかかわらず,現在約12,000人しかおりません。そのうち諸君のように正規の衛生検査技師学校を卒業した者は,2割に達しません。年々500〜600人の卒業生だけでは,補充さえもできないくらいです。従って新卒業生諸君の果たす役割は,いやが上にも上昇してきて,下働きではなく,最初から検査室主任という指導者になって行かれる人もあるくらいです。衛生検査技師としての心構え,諸注意は,衛生検査総論その他の教科で充分聞き尽しておられることでしょうから,私は二,三のことだけを強調してはなむけの言葉とします。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.