特集 看護の診断
看護問題をつかむ方法—患者中心の看護
千野 静香
1
1日本看護協会図書部
pp.20-23
発行日 1963年7月1日
Published Date 1963/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911967
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
現代看護のあり方はと問われた時,まず《患者中心の看護》と答えるのが常識となっているほどに,この患者中心ということばは現代用語の一つとして使われている。看護に限らず現代の医療の全般が患者を中心とした態勢にむかっており,予防,治療,回復,リハビリテーション,健康教育と全段階をとおして,それぞれのチームのメンバーすなわち医師,ソーシャルワーカー,薬剤師,栄養士,セラピストが手を組んでひとりの患者に働きかけ,総合の保健医療を行うことをいうのである。看護もこの中のメンバーとして,総合保健医療の責任を負わされているのである。ひとたび日本の現状に目をうつす時,この患者中心の看護という用語はどこまで実行に移されているであろうか? もしそれが実行にうつされているとしたら,どの程度まで行なわれているであろうか。日本の看護制度も大幅に改造されようとしている時,われわれ看護婦こそ真剣に看護のあるべき姿を研究しなければならない時である。
過去数年に渡って,いろいろな国の人たちが看護の本質についてさまざまな角度から研究を重ねてきているが,これはほかならぬ看護の専門職としての体系を確立するためである。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.