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はじめに
LesnikとAndersonはすでに1947年にnursing diagnosisという言葉を使用している.このころは看護問題の明確化を看護診断と言っていたが,この看護問題の診断ならば,わが国における看護診断は,1950年代末には導入されている.そして,1960年代に入ると,チームナーシングとともに問題解決法は普及していった.
しかし,今日の看護診断は本来の診断概念にふさわしい共通用語としての診断概念を使用する動きである.このムーブメントは,ITの発展とともに実質的には1973年に始まった全米看護診断分類会議に端を発している.この会議の目標は,①コンピューター記録,②看護専門職の用語開発と分類機構の設立という2つであった.その後,この会議は発展的に1982年NANDA(北米看護診断協会)に移行し,2年ごとにその診断分類の見直しを行い,公表してきている.この動きは,コンピュータや病院管理情報システムなどの技術開発の機能,社会の組織的変化,そして分類に関心のある専門職集団として用語体系思考への前進であった.表1にわが国と国際の双方から看護共通用語開発の経緯を示した.
わが国も1980年代に入ると,この看護診断分類が徐々に取り入れられていった.初期には「看護診断」というだけで,看護者も医師も拒絶反応が出ていたが,ICNなどによる国際的普及とともに次第に受け入れられていった.その普及には,1991年に始まった日本看護診断研究会,および1995年その活動を引き継いだ当日本看護診断学会の影響も大きいものがあるであろう.日本看護診断学会の主たる活動は,年次学術大会,学会誌「看護診断」の発行,NANDA診断分類の邦訳,診断研究推進,関連国際学会との交流などを行ってきている.しかし,近年の学術大会におけるシンポやフォーラムなどで要請されていることであるが,いまだわが国の看護診断分類を提出するには至っていない段階である.
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