特集 今求められる結核対策(1)—知っておきたい結核の基礎知識
わが国の結核対策の現状
大森 正子
1
1結核予防会結核研究所
pp.480-484
発行日 2000年6月10日
Published Date 2000/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902204
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近代化学療法の登場と国をあげて大規模に展開された結核対策によって,わが国の結核は1950年代以降,極めて急速に減少した。その最初に成果を上げたのは大企業の結核管理であり,その結果日本のGNPが増加するなど,健康と経済発展のスパイラルが,結核の減少に拍車をかけたとも言われている1)。
しかし国民の結核問題に対する意識の後退は,結核の減少以上に速いスピードで低下した。そして医療関係者の中にあっても結核はすでに過去の問題と考えられるようになった1980年頃,結核罹患率の減少に鈍化傾向が見られるようになった。それから20年以上を経過した現在に至ってもこの鈍化傾向に改善の兆しは見られない。
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