【実践報告】
1.ストローク論を用いたコミュニケーションの実践―看護師のコミュニケーションスキルの向上を目指して
佐久間 寿美
1
,
阿部 和美
1
,
山崎 貴子
1
,
阿部 福代
1
1眞仁会逗子桜山クリニック
pp.73-78
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100455
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Ⅰ.はじめに
当院の新人教育は,平成16年度から新人1名に対しスタッフ3名で携わるサポート体制を導入し,一方的な指導ではなく,新人看護師とともにスタッフ自身も成長を目指す「共育」を目標に職場全体で取り組んでいる.ともに育つためには,相手との関係を深め,自分の考えや気持ちを理解してもらうことが必要であり,その関係づくりを高める職場環境が望ましいと考える.さまざまな人とのかかわりを通して,相手を認め,信頼関係を築けるスキルとして,交流分析で広く使われているストローク論を取り入れることを考えた.このストローク論は,エリック・バーンによって提唱されたコミュニケーション理論で,関係づくりのほかに,対人関係の構築,さまざまな人とのかかわりを通して自分に気づき,他者に気づき成長していく,そして,互いの思考や感情行動が往来して人はともに成長していく過程を表している.また,自分が認められたとき,成長の意欲が湧いてくるといわれるストローク論は,専門職として自ら育つことを求められる看護師に適し,チームの協力関係を育てることにつながる.
ストロークは,われわれが心身ともに健やかに生きていくうえで必要不可欠なもので,臨床的にも実証されており,「心の栄養物」ともいわれている.また,ワグナーらによると,「人の行動に対して与えられる肯定的ストロークは,心から与えられると職場のよい人間関係を築く重要な要素になる」1)と報告されている.
そこで今回,コミュニケーションスキルの向上を目指し,ストローク論を取り入れたコミュニケーションの実践を行ったので報告する.
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