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【研究報告】
内シャントの存在が患者に及ぼすもの
What Existence of an Internal Shunt Exerts on a Patient
土本 千春
1
1金沢大学医学部附属病院
pp.64-70
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100312
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Ⅰ.はじめに
慢性腎不全の原疾患としては,糖尿病性腎症,IgA腎症,囊胞腎,遺伝子疾患など多岐に渡り,若年者から高齢者まで年齢や疾患に関係なく,残存腎機能の程度により透析療法導入となる.血液透析療法導入となった場合,患者は,ほとんどが上肢に内シャントを造設する.内シャントは外シャントに比べ,美容上あまり問題がない1)といわれているが,動脈の血液が静脈の血管に流れることなどにより,徐々に静脈の血管が怒張,蛇行し,加えて穿刺の影響で瘤や傷,色素沈着がみられる場合がある.
内シャント造設時には,閉塞・狭窄,感染,出血などの予防行動に関することを中心とした患者教育がなされている.そのなかで「こんなになるのか…」と,内シャントによる外観変化に対してマイナスイメージを受けたような発言が聞かれた.患者は内シャントを,生命維持のためには必要不可欠であると認識しながらも,内シャント造設によりさまざまな感情をもつことが推測でき,患者の精神心理面などに影響していると考えた.
先行研究2~11)においては,透析患者における病気の受容や透析の受容,QOLに関するもの,腎不全患者の心理や体験に関するもの,シャント管理やシャントの穿刺などに関する報告はみられるが,内シャントそのものに注目した患者の心理面への影響や,ボディイメージに関連した報告は見当たらない.
患者の内シャントへの思いや,内シャントの存在が患者の精神心理面にどのような影響を及ぼしているのかを知ることは,内シャントをもち血液維持透析を行っている患者や,これから内シャントを造設する患者の患者心理を理解したうえでのさらなるかかわりに貢献でき,意義あるものと考えた.
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