連載 医療ソーシャルワーカーの働きを検証する・12
MSWという存在―患者の立場から
久留井 真理
1
1広島頸損ネットワーク
pp.432-435
発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100510
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
頸髄損傷
1994年1月4日の夕方,私は交通事故を起こしてしまいました.右折しようと止まっていた自動車が,走っているように見えたのです.相手のバンパーが少しへこんだ程度の追突事故でした.「謝らなければ」と車から降りようとしましたが,どんなに力を入れても手も足も動かない.首が割れるように痛い.呼吸がどんどん苦しくなってくる.いったい何事が起きたのだろう,夢を見ているのか…?
救急隊員の方が私を見るなり,「これは首だ! 首を支えて!」.ドアはこじ開けられ,私はそっと抱きかかえられたまま,救急車で安佐市民病院へ搬送されました.
診断名は,首の脱臼骨折による「頸髄損傷」.それから4日後,頸髄の炎症が延髄まで広がり,自発呼吸ができなくなったと同時に,意識も遠のいてゆきました.1か月後,意識が戻った時には呼吸器が装着され,首から下はまったく動きません.でも,治療が進めば治るものと思っていました.受傷して2か月半が過ぎた頃,医師から告げられました.「手足はもう動くことはないでしょう.動いたとしても,日常的には役に立たないでしょう」と….受傷後初めて泣きました.朝まで涙は止まりませんでした.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.