第23回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 教育講演1
糖尿病合併症をもつ人の看護—みて,聴いて,触れて,こころで感じて
金井 千晴
1
Chiharu Kanai
1
1東京歯科大学市川総合病院
1Tokyo Dental College Ichikawa General Hospital
pp.70-73
発行日 2019年3月31日
Published Date 2019/3/31
- 販売していません
- 文献概要
糖尿病合併症をもつ人の理解
高齢社会の我が国では糖尿病患者数は増加しており,罹病期間が長くなるにつれ糖尿病合併症をもつ人も増加している.合併症は生命予後を悪化させるだけでなく,様々な機能障害や治療上の必要からADL制限が生じたり経済的な負担が大きくなったりして,QOL低下を招きやすい.
糖尿病合併症をもつということを考える時,単に「疾患(disease)」という生物医学的側面だけでなく,症状やつらさに伴うその人の体験である「病気(illness)」として理解することが必要となる.すなわち,糖尿病や合併症をどのように感じ,どう受けとめ,病気と共にどう生きているかをまずとらえる.そして,合併症による機能障害のために何ができず,どうつらいのか,それらがADLや生活にどう影響しているのかアセスメントして,患者の体験世界をイメージするのである.慢性疾患の特徴をふまえ,「よくはなるが,消えてなくならない病気,一生付き合いが必要な病気」が増えることが,その人の生活や人生にどのような影響を及ぼすかまで考える必要がある.その際,筆者は「慢性の病いと共にある人」として患者をとらえるよう心がけている.「慢性疾患患者」だと「患者なのだから自己管理すべき」とレッテルを貼り決めつけがちで,ありのままの患者をとらえにくくなるからである.
Copyright © 2019, Japan Academy of Diabetes Education and Nursing. All rights reserved.