第18回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 ●シンポジウム1 高齢糖尿病患者の倫理的調整
高齢糖尿病患者にとって快適で“大切にされている”と実感できるケアに取り組む
東 めぐみ
1
Megumi Higashi
1
1駿河台日本大学病院
1Surugadai Nihon University Hospital
pp.66-68
発行日 2014年3月31日
Published Date 2014/3/31
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はじめに
今回のシンポジウムでの,私に課せられたテーマは,〈高齢糖尿病患者にとって快適で,“大切にされている”と実感できるケアを目指し,実際に実施している倫理的調整〉の取り組みを紹介し,超高齢社会となっている現代の新たな取り組みを検討することであった.また,年齢を重ねることはどういうことかを考えることによって,ケアの方向性を検討したい.
ある日,私は内科病棟で,「あなたたちには2〜3年後という思いがあるかもしれない.でも,私には“今”がすべてなんです.明日死ぬかもしれない.だから2〜3年後なんてどうでもいいんです.今,目が見えてほしいから手術するんです.」と,80歳代の糖尿病性網膜症で両目の手術を控えている患者に話しかけられました.また,もう一人の80歳代の患者は「一年,一年,体調が違うんです.昨年できたことが今年はできなくなる.考えてみればひと月ひと月違うこともある」と自分の身体のことを語りました.看護師としてこのような患者の目の前に立つ私は,どのようにこの言葉にこたえればいいのか,あるいは,この言葉を傾聴し,理解を示すことが患者にとってどのようなケアに繋がっているのか,反芻して日々の実践を行っている.
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