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糖尿病患者にとっての治療と療養は、糖尿病診断時や治療変更時、外来通院では血糖コントロール不良が改善しない、あるいは他の疾病を伴った時など、その対応と改善策を見い出し決定する入院と、それを地域で生活者として活動しながら継続させる外来通院とをうまく活用することが望まれる。これは、糖尿病が進行性に進む病態であり、また生活者としての患者の生活環境の変化を大きく受ける疾患であることに関係している。医療者はこの入院と外来通院を連続線上にとらえたケアを実現させない限り、ひとりの人間として尊重され、その患者らしく豊かな人生を過ごしていけるように支えていくことは困難であると思われる。
そこで、本シンポジウムは、支援をつなぐ医療機関と地域との“リンケージ”について討論した。医療機関と地域の連携の重要性はこれまでも言われてきたが、これほどまでの糖尿病者の増加と高齢者社会となった現在、この問題への対応は急務である。糖尿病患者や家族は、医療機関と地域のつながりをどのように見ているのだろうか?また医療者と地域はどのようにリンケージして支援をつなごうとしているのだろうか?医療機関と地域ではフィールドが異なり、多くの施設では施設内で完結してしまうことも多い。地域による差や、地域ごとの取り組み方や考え方によって連携・循環の仕方は多様であることが考えられ、逆に地域の個性が生かされているところもあるかもしれない。お互いに連携が必要だと認識していながらも、その先の支援をどうつなげていくか模索しているところもあり、まだまだ発展途上といったところではないだろうか。今回のシンポジウムでは、医療機関内、あるいは医療機関から地域へ、または地域間、さらに地域から医療機関への循環・連関において課題となっていることや、そのことへの取り組み、連携を循環していける看護の役割とそのシステムについて、それぞれの立場から第一線でご活躍の方々にご発言いただいた。
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