第15回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 ●シンポジウム2
倫理的側面からみた糖尿病看護の実践と研究
倫理的側面からみた糖尿病看護の実践と研究
米田 昭子
1
,
白水 眞理子
2
Akiko Yoneda
1
,
Mariko Shiramizu
2
1国家公務員共済組合連合会 平塚共済病院
2神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科
1Federation of National Public Services and Affiliated Personnel Mutual Aid Association Hiratsuka Kyosai Hospital
2School of Nursing, Faculty of Health & Social Servies, Kanagawa University of Human Services
pp.74
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
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本シンポジウムは,第15回日本糖尿病教育・看護学会学術集会のテーマである“実践と研究の循環的発展”を受け,糖尿病看護における倫理的課題に焦点をあてようと企画された.糖尿病患者と家族への医療・看護・教育の提供,社会資源の活用等の支援や保健指導において,何が倫理的実践なのかは常に問われるところであり,また臨床のデータを研究として用いる時の,倫理的配慮の重要性については言うまでもない.特に,糖尿病看護においては,その人の生活,ひいては,人生における価値観と深くかかわることが多く,倫理的視点で実践を捉えなおすことは重要であると考えられる.しかし,一方で,糖尿病という疾患そのものは,すぐに,生命の危機や,人生の終末と隣り合わせでいることは少なく,日常に埋没しており,患者や家族の意思,患者と医療者の意見の対立などが,十分吟味されないまま,治療や看護が行われることもあるのではないかと思われる.また患者数が多いゆえに,病院,施設,地域社会の多様な場にケアを必要とする人々が存在し,患者(利用者)や家族のみならず保健・医療・福祉の専門職同士の価値観がぶつかる,責任の所在がはっきりしない,連携や調整機能がうまく働かないことが生じ,そのために十分な医療や支援が提供できないことも散見する.
そこで今回,経験豊かなシンポジストの皆様に,糖尿病看護の実践や研究を倫理的側面から取り上げていただき,課題や対処をご紹介いただくと共に,議論の場を提供し,臨床で遭遇しやすい倫理的課題への感受性を高める重要性について共有することを本シンポジウムの趣旨とした.
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