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日本看護倫理学会第11回年次大会 特別講演
水俣病の学術と運動の担い手
Research and action on the Minamata Disease
花田 昌宣
1
1熊本学園大学社会福祉学部/水俣学研究センター
pp.109-110
発行日 2019年3月20日
Published Date 2019/3/20
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- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
1 .水俣病という病い,その歴史と現在
水俣病の歴史は1956年5月に、チッソ附属病院細川一院長が原因不明の疾患発生を水俣保健所に届けたことから始まった。当時の被害者の状況は、重篤な病と生業の喪失に伴う貧困の渦中で悲惨を極めていた。それから62年を経た今日、状況も課題も大きく変化した。私自身の水俣病への関わりも40年を超えた。私たちは、熊本大学から熊本学園大学に転任された故原田正純教授とともに、1999年より水俣学という新たな学問の構築を目指し、研究プロジェクトを立ち上げ2005年に研究センターを作った。この経験を踏まえて、看護職、医療職に問われているものは何かを検討する。
水俣病は、一企業が有機水銀を含む廃水を無処理のまま海洋に流し、国や地方行政も何ら規制権限を行使せず放置し、魚介類を経て、住民のいのちと健康を冒した公害病である。今日に至っても被害者総数は確定せず、被害補償もまた今日の係争課題である。発生当初から被害拡大の過程、そして被害者の救済の補償に至るまで社会的・政治的なコンテクストの中に置かれてきた。
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