特集 神経学における最近の研究
<臨床>
水俣病,とくに慢性水俣病について
武内 忠男
1
1熊本大学医学部病理学教室
pp.795-797
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904936
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水俣病の発生以来二十年余を経過したが,その間の臨床症状の推移や病理解剖を検討してみると,メチル水銀中毒症には,急性ないし亜急性発症,その長期経過例(後遺症)や,さらに慢性発症例があって,きわめて複雑であることがわかってきた1,2)。それらは,中毒物質であるメチル水銀化合物の摂取とその蓄積性および生物学的半減期に関与し,いわゆる"dose-responce relationship"に左右されることと密接に関与していることが明らかにされて,それらと対応して蓄積臓器の障害性3)の種類にも影響することが判りつつある段階にきている。とくに今日,慢性水俣病の発症が比較的微量のメチル水銀化合物の摂取によって起ること2)が知られてきたので,それについての知見を明確にする必要があると考える4〜6)。箸者は,かかる意味で,ここにその病理と発生機序について記載し,考察したい。
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